魔術師達と入学試験

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時は戻り、一時間前、午前十時。旧東京都、現在米州中央市街ニューヨーク。 上空に浮かぶ酸素製造装置を中央に、半径五キロ圏内を防御結界で包んだ試験用都市と化したここニューヨークは試験時以外、昔と変わらず過密都市である。しかし、今日、とある試験の試験場として選ばれたニューヨークはただ六つの声のみを響かせていた。 六つの声が響いているのは高層ビルの立ち並ぶニューヨークのとある広場。 勢いよく水を吹き出している広場の噴水を正面に六つの人影がある。 人影の一人は身長一六五センチ程度の成人女性。その前に立ち並ぶのは少年少女達五人。 《教師番号二番・ユリアナ》と書かれたネームプレートを左胸に付けた女性は威張るようにして仁王立ちで目の前の少年少女達を見回す。 「中々の顔触れが集まっているわね。試しがいがあるわ」 言って、手元の資料に目を移した。 手元に持つ資料には《第五〇回・対黒魔術防衛省教導院入学試験資料》と書かれている。 資料のページをめくる。そこには今回試験を受ける少年少女達の詳細が記されていた。魔術アカデミーでの成績と彼らの写真、名前その他履歴書に書く内容を少々。 ユリアナはそこに書かれている情報を読み上げる。 「魔術アカデミー成績第五位、アルフ・レイモンド」 言うと、綺麗に横並びしていた少年少女達の内一人の一番がたいの良い少年が前に出た。
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