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その少年は日系アメリカ人で、体色は黒。身形は細身で鍛えた体をしており、背中に星条旗の模様が刻まれている軍服を着ていた。
五人の中で一番成績の悪いその少年はまさか成績順に呼ばれると思ってなかったのか苦い表情を浮かべ、息を思いきり吸い上げると、
「Yes。私が対黒魔術防衛省教導院入学試験に志願しましたアルフ・レイモンドであります。宜しく御願いします!」
軍隊独特の高い声を上げた。その声は大きいが元気が感じられない。
「はい、よろしく」
姿を確認し、縦に頷くユリアナはさらに読み上げる。
「魔術アカデミー成績第四位、倉木佐奈(くらきさな)」
前に出たレイモンドに習うようにワンピースを着た少女が前に出る。一礼と共に、
「はい。私が対黒魔術防衛省教導院入学試験に志願した倉木佐奈です。自分の所有する全ての魔術を使い全力を尽くしますので宜しく御願いします」
近くを通りかかった女子高生のように戦闘不向きな格好をしている彼女からは
魔術の力が長けている人間だとは思われない。
「はい、宜しくお願いするわね、佐奈さん。あなたのやる気は充分伝わったわ」
佐奈を見、笑顔を見せるユリアナに、佐奈は頭を下げる。
「ありがとうございます」
その光景を見たレイモンドは奥歯を噛み締めた。
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