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さっきまで考え込んでいたお前が言うセリフかよ、とその場にいた少年少女達は口々に言う。
「……私も早く始めたいのだけど、まだ全員揃ってないのよ」
「!!」
その場にいた五人の少年少女は驚きを隠すことなく、口を噤み、その場で硬直した。
この試験を受けるには魔術アカデミーのトップ五位でなければならない。だから、六人目は存在する訳がないのだ。
「まだ全員揃ってない、という事は六人目がいるという事でよろしいのでしょうか?」
五人の代表として、エースがユリアナに問う。
「えぇ。今回だけ特別。防衛省全監督兼教導院理事長からの推薦で一人受験者が増える事になったの。これは事前に知らせておくべきだったわね」
その場にいた全員の口が完全に固まってしまった。
例外中の例外。謎の六人目。推薦で受験を認められる程、高い実力を持っているという事。
競争率が高く、実力がなければ直ぐに切り捨てられるこの魔術世界において、それは、その場にいる五人の受験者にとって都合が悪かった。そして、入学人数が五人と決められているこの試験で誰か一人が試験を落とされるかもしれない、そんな恐怖が彼らを襲ってもいた。
「えっと、一つ質問良いですか?」
少し緊張気味で勇気を振り絞り挙手する少女が一人、佐奈だ。
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