天高く

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ハルマイア王国、ジニア領。 ラナキュラス聖国と、ハルマイア王国との境目に近い、自然豊かな場所。 此処に住んでいる人々は、合わせて100人に満たず、建物も30程度しかない。 だが、皆この土地を愛している。 青い野原も、遠くに見える山脈も。 どれも自分達が過ごしてきた大切な景色であり、誇りだ。 それが覆ることはない。 私は、ぼんやりと窓の外の景色を眺めながら、そう思った。 そして、そのまま外に繋がる扉を通り過ぎようとして、はたと足を止める。 あることを思ったからだ。 というのも、先程見えた空は、雲一つ無い晴天で、外に出ればとても気持ち良さそうだった。 空気も少し冷たく、どちらかと言えば寒い方が好きな私にとって、絶好の環境。 それなら、外で顔を洗ったら、とても心地よいのではないか。 ひんやりとした水を、顔にかけるのは、とても気持ちいいだろう。 いつもなら、迷わずそうしていた。 でも、今日は寝癖がある。 もし直す前に、他の人に見られたら恥ずかしい。
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