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シレネは、顔を洗いにいくため、川へ歩き始めた。
川は、この集落の近くに流れている。
小さくもないが大きくもない、だが人々の生活には困らないくらいの大きさ。
流れている水は澄んでいて、ひんやりとしている為、夏にはよくここで水浴びをする人が多い。
シレネも、よくここに顔を洗いにいっていた。
シレネの家からは、すぐ近くにある。
その道中にも、色々な花があり、お気に入りの場所でもあった。
いつもそれを眺めながら歩いていると、すぐ川に辿り着いてしまう。
もう少し長くても良いのに、と少し不満に思う時もあった。
今朝もその例に漏れず、少し物足りなさを感じながらも、シレネを川に着いた。
辺りを見回すが、誰も居ない。
これなら、さっさと顔を洗って寝癖を直せば、誰にも見られることなくすみそうだ。
そう思って、シレネを少し駆け足で近寄り、川の水を手で掬った。
そんな時だった。
これまで一度も嗅いだことの無い、不思議な匂いに気付いたのは。
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