プロローグ

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天露は断じて人ではない。 姿形は人間そのもの。 身体の構造も変わらない。 だが、人ではないのだ。 何が違うのか。 それは、『離水』の量だ。 離水とは、奇跡を使う代償。 奇跡を奇跡として認めさせるための、引換券。 決して回復することはない、産まれた時だけの限定品だ。 だが、天露は違う。 その量が、通常の何倍もあるのだ。 離水とは、一つの結晶である。 自らの身体の中にある、一つの結晶。 そして、その大きさで起こす奇跡の大きさが変わる。 結局いくら大きな奇跡を起こせたところで、産まれた瞬間に無くなってしまうので、何も変わらないのだが。 天露は、それを幾つも持っている。 十一人の天露は、それぞれの奇跡をそれぞれの回数で起こすことが出来るのだ。 大きさと量は反比例も比例もしないが。
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