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いつのまにか、手元に差す光は、橙色に変わっていた。
シレネは、それに気付いて顔を上げる。
太陽は、もう殆ど沈んでいた。
(…そろそろ帰らないと)
最後にリニル(薬草)の花を摘み取り、シレネを腰を上げる。
ずっと屈んでいたせいか、少し痛かった。
足元に置いてある籠を手に取り、リニルの花を入れて、歩き出す。
足元に映る影は、長く伸びていた。
いつもより、少し短い気がした。
少し早く帰りすぎたかもしれない。
戻ろうかな。
シレネはそう思ったが、摘み取るべき量は取り終えたので、別に良いかと歩みを再開する。
手に持った籠の重さは、普段よりも少し重い。
今日はいつもの何倍も作業がはかどった。
比較的摘み取り易い、リニルの花だったからかもしれないが、それをなくしても速かった。
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