4人が本棚に入れています
本棚に追加
帰り道を歩く足も、少し弾んでいる。
シレネは自分が少し高揚していることに気付き、嬉しそうに笑った。
そして、鼻歌交じりにスキップを始める。
今日は誕生日だ。
私の、十一歳の誕生日。
毎年誕生日は、必ず母はご馳走を作ってくれる。
去年は鶏肉の唐揚げだったし、その前は色々な木の実や野菜の混ぜ御飯だった。
母は、料理に関して妥協しない性格なので、どれも美味しかった。
そして今日。
私は、偶々朝早く起きたのだが、その時に母が何かをしているのを見つけていた。
その時は少し眠かったのと、うまく思考が働かなかったのでそのまま顔を洗いに行ったのだが、おそらくあれは今日の晩ご飯の準備だろう。
後ろからでも、母が楽しそうにしていたのが分かったから。
私の家が見え始めた頃、シュカの匂いが、私の鼻をくすぐった。
私はとても鼻が良い。
そのせいというか、臭いものは苦手なのだが、いい匂いのものはとても好きだ。
そして、このシュカの匂いはとても好きだ。
最初のコメントを投稿しよう!