友と兄貴分と時々巫女と

5/15
前へ
/587ページ
次へ
この後、俺はほぼ誰とも話さずに始業式を終了させ、速攻であるところへ向かった。 向かった場所というのが、鏡神社である。 鏡神社は俺たち陰陽師の秘密基地みたいなところで、俺の兄貴分の一人が神主をしている神社である。 山麓の神社で、川が通っており、桜が咲いた春の夜とかはかなり趣があって綺麗な場所だ。 鏡神社に着くと目に映るのはでっかい(大きさ比ではナ○トの九尾の半分くらい)お稲荷様がでーんと寝ている姿だ。 多分、一般人には見えないだろう。 お稲荷様は兄貴分の一人の式神である。 このお稲荷様はただ一体しかいない本性の神様ではな訳ではなく、本家の真似をして信じられた人の信仰心が作り出した偽物の神様である。 信仰心が創り出した九十九神だと言おうか。 「すいませーん。コン介さん正人さんいますかー?」 ぐだっている狐さんに声を掛ける。 この狐さんの名前をコン介さんと言う。 本名は正式には似非稲荷大明神十兵衛狐之介【えせ いなりだいみょうじん じゅうべえ きつねのすけ】と言う不名誉な長い名前である。 長いし読みづらいし似非など不名誉過ぎるので狐の鳴き声のコンと、狐之介の介からコン介さんと呼ばれている。 古くからこの地の豊作祈願の柱となっていたため、東京伏見区の本家には程遠いが、なりなりに土地神としての実力はある。 正人さんは兄貴分で、ここの神主さん。24歳のでっかい人で195センチあるとか言っていた。 「居る。 ただ、掃除中故境内にでも上がって茶でも飲んで待っておるが良い。」 「分かりました。」 尻尾を振りながら老獪な狒々ジジイのように悪そうな濁声でこう答えた。 何かの悪役の声ににているような気がする。どうでもいいけど。 境内の中のキッチンに入り、緑茶をかっぱらい、そこに置いてあったもみじ饅頭を箱ごと持ってった。 青森は四月になっても上旬は大体は桜は咲かない所が多い。 四月の下旬から五月の頭が桜が満開、散ったりする時期なのである。 まだ雪が若干残って寒いので、中で食す。 持ち前の式をすべて開放し、氷華、龍香、ルナを出してみんなで食べた。
/587ページ

最初のコメントを投稿しよう!

230人が本棚に入れています
本棚に追加