友と兄貴分と時々巫女と

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この、恐山の陰陽師集団の戦力を詳しく説明すると、俺、コン介さん、陽介さんの黒天狗、龍香が前衛をやり、後衛を正人さん、陽介さん、ルナ、氷華になっている。 人数バランスはいいが、俺が倒れると、龍香、ルナ、氷華が一斉に消え散るので危険と言える布陣である。 人数不足が深刻で、本当に猫の手も借りたいくらい人材が少な過ぎるのが難点なのだ。 指揮は前衛と後衛で別れており、俺は前衛を指揮している。 前衛はかなり実力がある。 龍香は伝説ができるくらい強いし、コン介さんは老練な攻撃が上手である。 黒天狗はとても速く、突貫する力は随一と言えるほどうちの式神は強いのである。 かく言う俺も龍香には劣るが、そこらの妖怪なら相手にならないくらいには強いと自負はある。 前衛の役割としては、ただの攻め、もしくは防御して相手の攻撃を防ぐだけである。 それだけなのであまり作戦を考え無くてもいいのだが、うちら前衛の式神は少し難点がある。 それはみんな一度攻めたら引く事をしない、イノシシ武者だらけだと言う事だ。 龍香とコン介さんは背中の傷は恥だと言って引く事を拒むし、黒天狗は序盤から敵陣形に突っ込んで行って帰って来られなくなるのだ。 逃げ弾正としては、引いた方が身の為だと言う闘いでも逃げない式神達をひっぱたきたいことである。 ただ、伝説鬼と土地神のコンビはやたらと強く、ギリギリでも勝ち切ってしまうのである。 こうなってしまうと、指揮官は俺じゃなくてもいいんじゃないかと思ってしまう。 話をもっと聞いて欲しいんだよな俺……。 ギリギリ話を聞いてくれる黒天狗と、泣きながら逃げましょうと叫び続けるのが俺の仕事になってきている。 しかし、こんな心配をしても全員で戦うことなど殆どない。 個人での調伏がおもになるのだ。 自分の式と戦闘するのが主となり、クライアントの依頼によって合う人間が選ばれるのだ。 俺は式が多いので一番依頼が多く、場数的にも師匠の弟子として使いまわされたので、実力は兄貴分とも劣らないと思う。 仕事の内容としては、明らかな怪奇現象を解決したり、人間にちょっかいを出す妖怪の対応など、殆ど人間を守る仕事ばかりである。 その他にも国の依頼の妖怪の退治や調伏、ごくたまにだが妖怪からの他の妖怪に不正に取られたナワバリの奪回などもある。
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