陰陽師、久慈遼と言う者。

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「おう、おはよう大将」 ドタドタと音を立て台所に現れたのは、ナイスバディーな茶髪の美人だ。 彼女の名を星熊龍香【ほしくまりゅうか】、又の名をほしくま童子【ほしくまどうじ】と言う。 ほしくま童子とは、伝説の酒呑童子【しゅてんどうじ】を鬼頭とした丹波の大江山の鬼集団の四天王である。 丹波の国で女攫いをしたが為に源頼光に討たれた筈だった(お伽噺では討たれた事になっている)が、彼女は彼ら一党を振り逃げ切った。 しかし彼女はその後、傷の影響で陰陽師により結界石として封印されてしまう。 彼女の石は三分割され、三大霊山の比叡山、高野山、恐山の祠に大切に保管されていた。 しかし時は流れ比叡山はかの第六天魔王、織田信長によって焼き討ちにあい、あえなく石を残して全焼してしまった。 高野山は第二次世界大戦の爆撃を喰らい壊滅、恐山は元よりの人材不足による放置で祠はなくなってしまっている。 運命みたいな事だが、各山に修行に出された俺は、地元の人にお土産として石を貰い、長らく放置されていた彼女の結界石を集める事ができたのだ。 そんな討たれたはずの鬼の存在の事を知らない俺は、奇妙に割れた石を元の形になるように重ねてしまい、晴れてほしくま童子復活の手助けをしてしまったのである。 それからと言うもの彼女は俺に変な恩義(復活させた恩)を感じてしまい、俺の式神として生活することになったのだが。 彼女は途轍も無く実力があり、とても俺が敵うような相手では無い。 本当に俺に仕えていていいのかと思うくらい、圧倒的に強いのだ。 たまに龍香は封印されてた関係で力が出ずに幼女体型になる事があるが、その時強襲しても勝てなかった相手である。 それでも彼女は俺を大将と呼び、俺について来てくれるのだから面白いものだ。 「ご主人様、登校の時間が近づいてますよ」 「ああ」 氷華の声に食べるペースをあげる。 これが俺の仲間達だ。 この仲間たちと今日までやってきて、これからもやって行くのだろう。 そして今日は新学期。 新しい出逢いに向けて、遅刻だけはしないよう急いで口に入れ込んだ。
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