友と兄貴分と時々巫女と

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毎年恒例の自己紹介の時間がやってきた。 適当なご挨拶をして、自己紹介をした。目立たないために凡庸な喋りをしたのは言うまでもない。 凜は元来の人気者の素質とイタコとしての抜群の実力を紹介して、もう本物の人気者と化してしまった。 凛は平均的な少女としては小さい体をのびのびとさせて話をしている。 けっ、チビのくせにとは思ったが、これが唯一あいつが俺に勝てる要素なのではとも思った。 人心掌握に長けたあいつ。 俺はそれを習得する時期、修行に明け暮れていたため遊んでなどなかった。 そういうところだけ凜には羨ましいと思った。 あいつは才能で修行せずにいっぱしの巫女になったのにもかかわらず、俺は修行に修行を重ねさせられて、強いられて陰陽師になった。 本当はなりたくは無かった。みんなと遊んでいたかったし、みんなから孤立するのも嫌だった。 だけど拾ってくれた師匠に陰陽師になりたく無いと言ったら師匠に申し訳ない。というか虐待されて逆らえない。 ……どうでもいい話だな。 まあ、つまんねぇ新学期を迎えることとなった事は確かである。 目立たない位置にキープされたのだが、少しさみしかった。
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