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その日から連日連夜の小暮の熔岩に立ち向かって行くかのような血の滲む努力が始まった。
毎晩、部屋で同室の太巻、濱田、城島から必死にテクニックを習う。
「肩の力を抜いて!指の動きがかたいぞ」
「指先に集中して、ピンポイントを指で攻め、時に手の平を使ってこう円を書くように…これがまた効くんだ」
「握りすぎだ!バナナを何本破裂させれば気が済むんだ!」
根っからの体育会系の小暮である。
絆愛の常識離れな生活にだって、ハードさにかければ日本…いや世界一であろう柔道部の練習にだって耐えてきた。
だが、今回の“飛拏摩通離”に関しての練習は、小暮の今までの在り方が通じない厳しいものだった。
「やっぱり、俺には無理だ…」
「馬鹿野郎!やる前から諦めるな!お前はそんな漢じゃないだろう!さあ、バナナをもってもう一度最初からだ」
「小暮ならきっと出来る!小暮なら“飛拏摩通離帝王”になれる。俺たちがついてる」
心友(とも)に励まされ、くじけそうになった自分を恥ながら、小暮はまたバナナを握り自分を奮い起たせ練習に励んだ。
その姿は美しくもあり、見る者全てに感動を与え涙なしには語れない。
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