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「俺、11番。三年柿組の小暮だ」
「あ…俺、12番の一年芋組、吉永です。よろしくお願いします」
深々と頭を下げる様子は、小暮にも傍目にも好印象だ。
(コイツなら、もち肌でツルツルスベスベ肌だし、なんとかなる…かもしれない)
小暮は不確かな自信を胸に秘め、こっそり小さくガッツポーズをしていた。
「ミッライさぁ~ん…一緒に見ても良いッスか?」
小走りにやって来た伊達が、正面から見るために濱田達と合流した太巻に後ろから抱きついた。
「みっ…光臣!ば…みんな…見られる!」
太巻は小さな声で伊達をたしなめる。
「ミク、今さら隠さなくていいって…最初っからバレバレ」
呆れる濱田達に伊達はニッと笑う。
濱田だって、さっきから城島の身体中を触りっぱなしだ。
「あ、小暮の相手はどんな……おっ、あのポッチャリした人の良さそうな子だ」
「どれ?アイツは…うちのクラスの吉永だ」
「また芋組なんだ。どんなヤツ、吉永って?」
振り返る太巻に、伊達は
「地元じゃ“荒海の種牛”なんて呼ばれてるらしいッス。アイツの地元じゃ“吉永”つうたら、サユリよりアイツが有名なんだって」
「“荒海の種牛”…」
「サユリより有名…」
みんなで顔を見合わせてから、
「小暮、ラッキー!」
「そんだけのヤツなら、どう転んでも不慣れな小暮だってバッチリじゃん♪」
友達思いの3人は、勝負が始まる前から勝った気になり喜んだ。
(小暮先輩…気の毒に…)
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