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“ボォ~”
法螺貝の音が響き、全員が各々の位置についた。
全校生徒に向かい一列に衝立で仕切り九区画作られており、一区画に椅子がそれぞれ一脚ずつ並べられている。
先攻が先に椅子に腰掛け、後攻の者が横に立つと、赤旗を持った先生が各椅子の後ろに公正な審判として立った。
“ドン・ドン・ド~ン・ドン
ドン
ド~ン”
息を呑む静寂の中、校長が打つ陣太鼓だけが鳴り響きいよいよ開始である。
『うおぉぉ~ぅ!!』
あらゆるところから、野太い低い声が一斉に上がり誰もが興奮の中、小暮も椅子に腰掛けた。
「失礼します」
吉永が小暮の褌を外し、リズミカルに手を動かす。
(何コイツ…上手すぎだろ?だけど、相手がコイツってのがなあ。よし、脳内変換!
コイツはミク…コイツはミク…コイツはミク…)
「うっ…ヤバ…くっ…」
「ヤバくないッスよ。俺の手に身を任せて下さい」
(身を任せる…だとおぉぉ?コイツにぃぃ?ダメだダメだ!コイツはミク…コイツはミク)
「NOぉぉぉ~~!!ミクぅぅ!!」
掛け声一発、白濁の放物線が綺麗に描かれた。
審判の赤旗が真っ直ぐに上がる。
「ふむ。あれほど美しい軌跡は初めてだのおぉぉ…なかなかやるわい」
不敵に笑う校長を尻目に、一気に脱力した小暮の後始末を吉永がテキパキと行っている。
「あっ、悪いな」
「いえ…いいんです。それにしても、素敵な腹筋ですね。憧れますよ…」
「そ、そう?そうかな?
あはっ、大丈夫だ。この学校ならおまえの布袋様のような腹だってバッキバキだ」
「この腹はマニア向けなんですよ」
(何のマニア?)
順調な小暮・吉永ペアに比べ、他のペアはなかなか手こずっている。
中にはうっかり顔を近づけ過ぎて顔面に直撃の生徒も…なお、その場合は無効とされ、再度チャレンジさせられる。
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