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『………………ではこれで入学式を終わります。』
教頭の挨拶が終わると生徒達が体育館から出て一斉に寮に向かいはじめた。
「私も行こうかな…」
そう思い席を立った瞬間誰かに肩をつかまれた。
『ねぇ、このあと時間空いてる?』
振り向くと茶髪の2枚目風の優男がにやにやしながら私を見下ろしていた。
「……なんですか?」
私の体を舐めるように見る男の視線が気持ち悪く、つい冷たい声になってしまった。
『ちょっと俺と話さない?』
「なんで…」
『いいから行こう!』
男は私の肩を抱き無理やり引っ張っていった。
「ちょっ!離してよ!」
『いいからいいから』
そんなやり取りを数回繰り返しているうちに、古びた校舎が見えてきた。
「話ならここでしなさいよ!」
玄関に入るギリギリのところで私は男の手を振り払った。
「こんなとこまで連れてきてなんなのよ!」
『お前、本当に人間?』
「…………はぁ?」
ここまで連れてきといての質問がそれですか?
あまりにも当然のことを言われ、言葉を返す気力もなかった。
「だったらなんですか?」
『人間にしちゃ、ずいぶんと甘い匂いがする…』
どうやら一種の変態だった。
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