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こんな笑いかたをするときの瑞季は、どれだけ私が粘っても、決して引き下がってはくれない。それならばさっさとホールドアップして、おとなしく従えばいい。今の私には、抵抗するだけの元気もない。ゼリーも買ってきてくれたことだし、そうするのが一番だ。
なんて言い訳を重ねるけれども、実のところ、私も、この親友に話したいのかもしれない。保健室で起きた、不確かだけれども嬉しさで舞い上がってしまいそうな、あの出来事を。
「へえ、それで日曜日は二人で課題をするのね」
私がゼリーを食べる手を止めて覚えている範囲で詳細を話すと、瑞季はあっさりと納得してしまった。変にからかわれるよりかはいいけれども、もうちょっと驚いてくれたり喜んでくれたりしてくれても、なんて思ってしまう。我ながら面倒くさいなあ。
「まああんたと予定が合わないのは残念だけど、せいぜい良い一日にしてよね。せっかく、好きな人からのお誘いなんだから」
「う、うん。わかったよ」
「……」
「どうしたの?」
「なんかつまんない」
私の勉強机のところから回転椅子を引っ張り出して、瑞季はそこにどっかりと腰を下ろした。
「瑚春、最近自分でも認めちゃってるでしょ。樋渡君が好きってことを」
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