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さらに言えば、どこで何を書くのかも決めていない。私たちは、ただ約束をしただけで、詳細はひとつも決まっちゃいなかった。
さすがにこれはいけないと思い、樋渡くんに連絡を取ろうと私は電話帳を探ろうとするも、すぐに手が止まる。そもそも、私たちは連絡先を交換していないのだ。
どうしよう、今すぐにでも話がしたい。メールでも良い。保健室にいたときの私は、どうしてメールアドレスの一つも聞かなかったんだろう。せっかく日曜日に会えるのに、このままじゃあお流れになってしまう。それは、絶対に嫌だった。
ベッドの上でゴロゴロと転がりながら切羽詰まっていたところに、着信を知らせるバイブレーションが震える。秋那からだ。そしてふと、考えた。
(秋那に、樋渡くんのアドレスを教えてもらえばいいのかな)
きっと、現状なら方法はそれしかない。小学校じゃないんだから、クラスの連絡網なんて存在しないし、他に私の知り合いで彼の連絡先を知っている人は、多分いない。秋那なら、中学時代からの友達の彼女なら、知っているだろう。
けれど、たった一つしかないその手段を前にしてもまだ、私は尻込みしていた。
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