春嵐

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§  学校を早退した次の日、ゴールデンウィークの後半が始まった木曜日の朝、俺は目を覚まして、時間を確認しようと覗いた携帯に、一通のメールが着信していたことに気づいた。相手のメールアドレスが直接表示されていて、俺の知らない相手からだということを真っ先に伝えてくれる。タイトルには、『急にごめんね』とだけあった。誰からだ、と思ったが、それより、今着信したものを除けば、受信箱に届いている以前一番新しいメールは実に一週間以上前のものだと気づいて、少しショックだった。しかも、相手は肉親である姉ちゃんだ。  朝一番からそんなことを思い知らされて、寝覚めが悪いなあと思っていたけれど、正体不明のメールを開いて、その一行目を見て、俺の頭は一気に覚醒した。 sub:急にごめんね。  泉堂です。急に朝早くメールなんて送ってごめんね。樋渡くんのアドレスは、秋那から聞きました。  どうしてメールなんて? とか思ってないよね(笑) きっとわかってると思うけど、日曜日のことだよ。あのときはごめんね。せっかく樋渡くんが誘ってくれたのに、私ったらほとんど寝ちゃってる状態だったから、全然詳しいことが決められなかったよね。もしかしたら、保健室で樋渡くんはちゃんと決めてくれてたのかな? 例えそうだとしても、あのとき私、本当に酔っぱらっちゃったみたいにほとんど何も覚えていないんだ(笑)  だから、改めて場待ち合わせ場所と、時間を教えてほしいの。ごめんね、朝から知らないアドレスからメールが来て、ビックリさせちゃったかな。  とにかく、返信待ってるからね。お互い、早く良くなろうね(笑)
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