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「え?志織ちゃん?お顔が真っ赤でちゅよ~?」
いつもなら即殴り飛ばしているような、冗談も今は頭に入ってこなかった。
「―…だよ。」
「え、何て言ったん?…あれ、…志織…さん、怒ってる?…あの…乾さん…?」
「―そうだよって、言ったんだよ!馬鹿!!」
思わず小さく叫ぶように言うと、余りの恥ずかしさに、居たたまれなくなった。
「ぶはっ、志織顔真っ赤!!お前、そんな可愛いやつやっけ。あー、これが世に言うツンデレならぬ、クーデレなんですかねぇ。」
腹抱えて笑う幼なじみを睨み付けるが、一向に効かない。
「もうえぇから、はよ帰れ。」
「ククッ…志織が崩壊しよった。アカン、腹痛いわ…!!面白いけど、志織が帰れって言ったし、電車がもうすぐ無くなるんで帰るわ、な。」
祐介は笑って目に溜まった涙を拭いながらまた、踵を返した。
「…」
帰れと言った手前、帰るな、なんて言えないので、膝を抱えて何も言えずに黙ると、急に祐介が振り返った。
「やっぱ、拗ねとる…!!」
またもや、腹を抱えて祐介が笑う。
「てめっ…!」
ベッドを降りて、どつきに行こうとすると、目眩がしてふら~っと足元がおぼつかなくなった。
「危なっ…」
ふらついた俺は祐介に抱き止められて倒れずに済んだ。が、頭に血が回っていないような感覚がして、祐介から離れることが出来ず、そのまま凭れかかった。
「大丈夫か?」
「…あぁ…、大丈夫…だと思う…。ただの、立ちくらみ…。」
血の気が引いたような気持ち悪さが残る頭で、取り敢えず大丈夫だと言葉を紡ぐ。
「今日は泊まらせてもらうから。…安心しぃ。」
ゆっくりと俺をベッドまで押し戻して、ゆっくり倒して寝かすと、マフラーと上着を脱ぎはじめた。
「なんだか…ごめん。」
「いーから気にせんと寝とけ。シャワーとソファー借りるからな。」
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