四月

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俺が入ってるのは、自分の大学にあるワンダーフォーゲル部。部員数8人という小規模なもの。因みに、ワンダーフォーゲル部というのは登山や山岳部のようなものだ。といっても、大掛かりなものでもなく、軽登山みたいな感じ。 8人の中に幽霊部員が2、3人いる。そのうち、幽霊を極めてるヤツが1人。成仏させてやろうかと思ったが、家庭の事情やらなにやらあるらしく、こちら側も放置だ。 2、3人に含まれるヤツの中には軽音で活動中のヤツがいたりと、メンバー的には不思議なサークルだ。 「…な、何を根拠に…、まだ何もしてないじゃないですか…」 驚き、戸惑うコイツは新入生の一人。総勢5人が入ってきた。それ以外にもここをスノボー部やら、コンパ部と勘違いして見学しに来た奴らもいる。……まぁ、完全に否定は出来ないんだが。シーズン以外は飲み会したり、たまにはスキーやスノボーしに行く時だってあった。来るもの拒まず、去るもの追わずが基本の方針。 それでも、どうしても、コイツは―… 「お前の言動見てたら分かる。お前には向いてな」 ―例え泣いても、辞めると言うまで徹底的に勢いでまくし立てようとした時。 「志織(シオリ)!」 「―ッ…。」 「ちょっと席外してくるわ。気にせんと飲んでてな。志織、行くで。」 一声で周りを含めて黙らせた、声の主―もとい、幼なじみが立ち上がり、俺も有無を言わさぬ声に従わされ、立ち上がった。 .
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