四月

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「しかし、まぁ…なんでそんなこと思ったん?アイツ死ぬ!!って、恐い顔で言うからさぁ…なんか、あったんかなって。」 「…それは、夢で…何度も天城を……」 「予知夢なぁ…」 「だから、辞めた方が」 「志織、お前が守ったれや。」 「…え」 「勿論、俺も力になる。何も起こる前から…天城が辞めるようなハンパな奴やとしても、今はあないなこと言ったらんといて。」 「…俺が、守、る……」 余りにも驚いて、呆然と言葉を繰り返す。 「せや、分かってくれたか。じゃあ、みんなの所に戻るで。みんな、きっと心配してんで。あー、後、天城にも一言謝ってやってな。」 俺が呆然としているのを余所に、祐介は立ち上がって、ペラペラと喋りながら店に向かっていく。 脳裏に浮かぶあの真っ赤な場面と、祐介の言葉が脳内で何度もループする。 「………志織?どうしたんや?」 「―無理だ。俺には無理、守れない…!だって、天城を、殺すのは…!」 真っ赤な光景に思わず頭を抱えて言うと、慌てて祐介が戻ってきた。 「志織、落ち着け。どうしたんや、さっきからお前らしくないで。…顔色悪いし、先帰っとくか?汗すごいで?」 祐介が俺の肩に腕を回して、額に手を当てた。さっきから会話が噛み合ってない気はするが、落ち着いて話せそうにもなくて― 「なぁ、祐介…俺…前に話した事だけど…あの時、俺…」 ―感情任せに全て話してしまおうと言いかけた時、背中に乗せてくれていた祐介の手が、俺の頭を撫でた。 「熱は……そないないけど…。心配やから家まで送るわ。ちょっと待っとけ、荷物とってくるわ。」 言い終わると、俺の返事も待たずに、自分が着ていた上着を俺の肩にかけて、スッと店の中に入って行った。 「……ごめん、祐介。」 居なくなってから、真っ暗なアスファルトにポツリと零す。 俺はいつからこんなに弱くなったのだろうか。 暗闇に飲み込まれそうな感じがして、祐介の上着を強く握って、戻ってくるのを待った。 .
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