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「めんどくさ」 早く終わらせちゃお。 あ、もう掃除場所に来てる人がいる。 ん?あれって…… 「あれ、綾子も中庭掃除なの?」 「やっぱり須藤だ。“も”ってことは須藤も中庭掃除なんだ?」 「ん、そーみたい」 須藤はすでにホウキで掃き始めていた。 私もホウキを持って掃き始める。 ふと、気になったことを聞いてみた。 「てかさ、須藤。『綾子』ってなんなの?」 「……別にいいじゃん。嫌なの?」 「い、嫌じゃないけど…」 「じゃー、いいじゃん」 「でもさ、『綾子』なんて呼ぶのは須藤くらいだよ?」 みんな『菜子』か『綾瀬』だからなぁ。 そうそう『綾子』なんて呼ぶ人はいない。 「知ってるよ」 「え?」 「『綾子』なんて俺しか呼んでないこと。特別みたいでいいじゃん」 「と、特別……?」 須藤ってば… な、何を言ってるんだろう? 須藤の顔を見てみると、少し口角を上げていた。 わ、笑ってる……? 「俺以外の奴に呼ばせるなよ?綾子?」 「へ?」 「変な顔。俺、ゴミ袋持ってくるね」 そう言うと、ゴミ袋を取りに校舎の方へ歩いていった。 .
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