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白み始めた空の光が
病室のカーテンの隙間から差し込み
眩し過ぎるのと、
無事に出産を終えた興奮で
なかなか眠る事ができなかった私は
《今日が晴れて良かった》
差し込む光を眺めながら思っていた。
幼い頃すぐに泣いてしまう私を
『香奈は雨の日に生まれた子だから』
しょうがない子だ、そう笑って
いつも抱きしめてくれた祖母。
涙を拭いてくれたノリの効いたエプロンの感触を今でも鮮明に憶えている。
深い意味など無くて、泣き虫の私をからかう大人の冗談だったと思う。
だけど自分でも下らない事で泣いているなと自嘲気味に思う時、私は、この祖母の言葉を思い出す。
だからか、
子供が男の子だと分かった時から
『晴れた日に生まれてきてね』
そう何度もお腹に話しかけていた。
だって、泣き虫な男の子だったら
心配で私が子離れ出来なくなりそうだから。。。
8時頃になって崇人から電話がかかってきた時、前の晩、陣痛で寝れなかった私は、ようやくウトウトしだした寝入りばなだったから酷く不機嫌に対応して、側で聞いていたママに注意されたんだった。
なんだ。
あの時、
崇人はこの子と浮気してたんだ。。。
妙に優しいのは
侑右が産まれて嬉しいからとか
私に感謝してくれてるのか、とか
ものすごく
いい方に捉えていたのに。。。
からくりが分かると
辻褄の合う現実がバカバカしくて笑える。
誰かに、こんな話しを笑って聞いてくれる人にぶちまけたい!!
迷わず私は、ゆかりさんに連絡した。
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