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「うわっ、あっ、トイレですか?」
ギョッとしたのを隠すように
貼りつけた笑顔で声をかけると
さっきまでとは別人のようにシリアスな空気を漂わるコアラ男。
この状況…マズイ…かも。
私の質問に答える気は無いようで
無言で肩を鷲掴みされ
みんながいる席から死角になる壁に
体を押さえつけられた。
軽く背中に痛みが走る。
「ちょっとぉっ!…と!…ぉっ!…」
急に無理矢理押されたのと
慣れないピンヒールのせいで
バランスがとれず
壁つたいによろめきながらも
必死に
コアラ男の体を押し返すけど
居酒屋勤務で、なぜにそこまで筋肉が必要なの?と疑問に思うほどガッチリしたその体はビクともせず
猛烈に拒否ってる私の態度にも
お構いなしのこの男は
あろうことか・・・
この、ありえないシチュエーションに酔いしれたようなウットリした表情を浮かべ
目をつむり
分厚い唇を突き出して
ゆっくりとこちらに迫ってきた。
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