シングルマザー

27/56
前へ
/409ページ
次へ
「ほら、またそんな怯えた顔して」 吉川さんが笑いながら 私の顔を覗き込み フニィーと頬をつまんだ。 「!!」 数時間前に出会ったばかりの男性に いきなり顔を触れられるなんて 始めての事で・・・ 目を白黒させる私を見て 吉川さんは、さらに爆笑しながら 「隙だらけ」 そう言い やっと頬を解放してくれた。 自由になった頬に 少し物足りなさを感じる。 これって・・・ もしかして・・・ いわゆるイチャついてる状態? 分かんないけど 今ので確実に2人の距離は 近づいたように思えて さらにドキドキが増す胸。 出会ったばかりの人に こんなに心をトキメかせるなんて まさか、これは、夢? 落ち着かない気持ちで グラスを傾ける吉川さんの横顔を ソッと盗み見しながら 汗をかいている2杯目のカクテルを 自分の頬にあててみる。 《うわっ!冷たっ!!》 キーンとした感覚が背筋を走り これが現実だと確認して また身体が熱を帯びた。
/409ページ

最初のコメントを投稿しよう!

327人が本棚に入れています
本棚に追加