レインリリー

シングルマザー

「煙草、吸っていい？」

頷くと

「最近、人前で吸うの気使うんだよね。会社も社用車も禁煙だし。やってらんね～」

呟きながら顔を少し傾け
タバコに火を点し
美味しそうに煙を深く吸い込み
息を吐く。
その一連の動作に見とれていると

ん？

不思議そうにこちらを見る吉川さんは煙が目に入ったのか切れ長の目を細めている。

「あっ、スイマセン。ジロジロ見ちゃって。家、誰も煙草吸わないし珍しくって」

「そうなの？今までの彼氏は？」

「吸わない人ばかりで・・・」

「へ～」

興味なさ気な返事に
なんだかガッカリ。

それが悔しかったのか
たった２杯のカクテルで
酔いが回ったのか

「あの、バツ１子持ちの女って・・・吉川さんは、どう思います？」

気づいたら
そんな言葉が
口から飛び出していた。