現実

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・・・・・・・・・・・・ 帰りの車内は 言葉少なに 家までの道のりを 質問されたり説明したり するだけで過ぎていき もっと一緒にいたい気持ちでいっぱいなのに時計は無情にも あとわずかで12時という時間を示し こんな時に限って 運が良いのか悪いのか 信号にもほとんど引っかからず スムーズに家に辿り着いてしまった。 「・・・ここの角で」 そう言って丁度 家の途切れる場所に 車を止めてもらう。 お礼を言って 降りようとした、その時 言わないでおこうとした思いが 私の意思を無視して 言葉となって飛び出していた。 「・・・私、また吉川さんに会いたい」
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