現実

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半開きの助手席のドアに手をかけたまま再び泣きそうになっている私に 「おう」 と、さっき私を抱きしめたその手で ポンポンと優しく おまじないのように頭に触れた吉川さん。 「分かったけど 今日は、もう帰った方がいい」 「うん。またメールするね」 彼の優しさに救われ 何とか笑顔を作って 今日の最悪なデートを 少しでも良い印象に 塗り直そうとすると 「きっと俺からのメールの方が早いよっ」 そう笑みを残し 吉川さんは車を出した。
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