現実

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「で?どうだった?」 始業ギリギリに出社した私を ただでさえ大きい目を爛々(らんらん)と輝かせて琴子が待ち構えていた。 やっぱり待ってたか。。。 予想はしてたけど 泣かずに話す自信がない私は 「・・・後で、話すから」 短く答えて直ぐに仕事に取りかかった。 こういう時、 集中できる場所があるって すごく救われる。 今日の私は 感情を持つ全ての人が 自分を可哀想な奴だと 蔑んでいるんじゃないかと 疑うぐらいに 悲観的な心を抱いているから いつもは うんざりするこの書類や数字達が 感情を持たない存在で 心底ありがたかった。
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