現実

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2ゲームもすると 笑いすぎで疲れた吉川さんと 日頃の運動不足がたたって 既に腕が筋肉痛の私は ヨレヨレになって 車に乗り込んだ。 「はい」 いつの間に買ったのか 暖かい缶コーヒーを手渡され 彼がコーヒー片手に 車にもたれながら 外でタバコを吸っているのを待つ間 疲労感は体だけじゃなく 心にも戻ってきた。 ──なんか不倫してるみたい・・・。 そんな経験もちろん無いけど この変に割り切れない感情は 多分、不倫してる人に近いような気がする。 隠れる必要は無いけど・・・ 侑右の親である以上 大っぴろげに男性と付き合うのも 微妙だし シングルなのに 何かと気にしてしまう。 これからする恋が不自由な恋愛になるだろうという事に私もやっと気づいていた。 離婚しちゃえば色んな悩みから解放され楽になると思っていたのに それはそれで次々と予想しなかった悩みが降ってくるわ 甘くない現実に直面するわで 正直、この半年で私の心は 錆びつき始めていた。
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