現実

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「あんまり遅くならない方がいいだろ?11時前か~中途半端な時間だし、どうしよっか?俺の部屋、来る?」 「!!」 気だるい身体をシートに預け 気を抜いていた私が あわてまどって絶句していると 本日笑いのツボに入りっぱなしの吉川さんは、またケタケタ笑いながら 「そんなに引かないの。 取って食うわけじゃないから 安心して(笑)」 私の頭をちびっ子にするみたいに ガシガシと揺らし 質問したくせに返事も待たずに車を出す。 ──強引なんだから・・・。   女に断る隙を与えない そんな人・・・。 毎回、一瞬の戸惑いの後 なぜか流されて行くことにホッとしてしまう。 吉川さんとのデートは その繰り返しで。 少し強引で自信たっぷりの 彼の側にいると 無条件に自分まで強くなれたような、 そんな感じが心地良かった。
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