現実

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ここが私の指定席になるかも。 ほんの少し前まで そんな風に思っていた助手席が 今は、ひどく居心地が悪い。 静まりがちな車内で 早く、このどんよりした空気から解放されたいと願う自分勝手な私。 私のシングルマザー告白をちゃんと受け止めてくれた吉川さんに、こんな態度ヒドイと思う。 けど・・・ けど・・・ けど・・・ ざわめく気持ちを無視して 調子のいい事なんて言えない。 あと2つ信号を過ぎたら家だという所でハンドルを握り前を見たままの吉川さんが、淡々と話しだした。 「今なら、 お互い傷が浅いと思うんだ」 大人過ぎて 彼を遠く感じる言葉だった。。。
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