326人が本棚に入れています
本棚に追加
そのワンピの優しい色に
侑右の誕生会の記憶がよみがえり
チクリと胸がきしむ。
結婚が永遠に続くものだと信じて疑わなかった頃。
その生活は、みんなからのサプライズプレゼントだったサーモンピンクのワンピを手にした時から、おかしな方向に転がり出した。
「前向きな離婚。
もう全然、大丈夫だから」
人にはそう話しているけど
そんなの大嘘。
自分だけが知ってる痛みは
隠そうとすればする程
奥深くまで入り込み
今も私の心に我が物顔で陣取っている。
気が小さい私は、
あれから意識してサーモンピンクの服は避けていて、
あの時せっかくもらったプレゼントも
崇人とのデートで1度着たきり
クローゼットの目の届かない場所に封印しっぱなしになっていた。
だから、
このドレスワンピにも袖を通したら
また悪い何かが起こるんじゃないかと
つい、くだらないジンクスを心配してしまう。
考え過ぎだろうか・・・?
今が底辺。
これ以上の悪いことなんて
思いつきもしないけど・・・。
まっ、試着ぐらい平気だよね。
そう思い直し袖を通す。
久々に着る大好きなカラーに
心は弾むけど
【リーベン】の少し埃がかった鏡に映る自分は2年前より、かすかにくすんで見えた。。。
最初のコメントを投稿しよう!