再会

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上の空で賛美歌を歌い終え どれだけ深呼吸しても 落ち着かない胸に気を取られながら スタッフの案内にしたがって 教会の外階段へと進む。 仄暗い教会内から 一気に夏の気配を漂わせる 光の下にさらされ 《眩しいな》 そう思った瞬間 ──グラン 目の前が白くなり 自分で意識が遠のくのが分かった。 こんな時に 立ちくらみを起こした私は なれないヒールのせいもあって 足元がふらつき 思わず侑右の手を握る左手に すがってしまった。 3歳になったばかりの侑右に 45キロの私を支えられるハズがない。 ──マ、マズイ!   階段から落ちちゃうっっ! 焦って何かを掴もうと右手を伸ばした その時 「ヒャッ!!」
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