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「あら香奈、いたの?」
すっかりしびれた腕で
なんとか侑右を抱きかかえ
重い足取りで庭先まで戻ると
ママが置きっぱなしの荷物の前で
不思議そうに立っていた。
「こんな所に荷物だけ置いてあるんだもん。何なのかと思っちゃったわよ、あ~ビックリした(笑)」
大げさに安堵するママは
私の腕から侑右を受け取り
「侑ちゃん最近グングン大きくなるから、抱っこも大変よね。こないだなんて『侑、もう大きくなりたくない』なんて言うから理由を聞いたら何だと思う?最近、みんなが重い重いって言うでしょ?だから『これ以上大きくなったら誰にも抱っこしてもらえなくなるから嫌だ』そう言うのよ。ホント、甘ったれよね。来年、幼稚園大丈夫かしら」
早口でまくし立てるママの話に
首を縦にふって相槌をうつ。
親は、
ちっとも成長できてないのに
子供は、
ちゃんと心も体も大きくなっていて
来年はもう幼稚園かぁ。
「何かあった?」
私の様子に気づいたママが
まじまじと、顔を見つめている。
「香奈のその顔・・・
崇人くんがらみでしょ?」
ママは、やっぱり、さすがだ。
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