325人が本棚に入れています
本棚に追加
/409ページ
「ゆかりさん」
「ん?」
「前にも聞いたけど・・・本当は、大久保さんの事どう思ってるんですか?」
「・・・どしたの急に?」
「ん~どう見ても2人、何も無いように見えないんですよね・・・」
「・・・じ・・・」
ゆかりさんが何か言おうと口を開きかけた時
「空いたお皿片付けていいですか~」
やたら元気の良い店員がやって来て
ガチャガチャとせわしなく
食器を下げ去っていく。
いつも思うことだけど
この店員がやってくるタイミングって
どうしてこう絶妙に気まずい
『間』なんだろう?
でも今日は、その数十秒の沈黙が
瞬間テーブルに漂った澱んだ空気を
一気に払拭してくれた。
「ふふふ。香奈ちゃんにしては鋭い質問だ」
変な笑いを浮かべ
すっかり氷が溶けて
汗をかいているコップの水滴で
遊ぶゆかりさんの指が
彼女の心の動揺を現しているように
意味もなく上下する。
最初のコメントを投稿しよう!