恋と愛

38/38

325人が本棚に入れています
本棚に追加
/409ページ
本当に爆睡していた2人を ゆかりさんが、たたき起こし 「もう面倒くさくなった」 と駄々をこねる周也さんの尻を叩き 砂浜へと向かう。 本当にこのカップルは お互いに遠慮がなくて 見ていて気持ちがいい。 話し込んでいる内に すっかり夜の帳がおりた 海辺の景色と波の音は 昼間とは違って 飲み込まれそうな 威圧感を漂わせている。 さっきあんな話を聞いたからかな? 手持ち花火をクルクル回して出来た キレイな円の残像の向こう側で オレンジ色に照らしだされて ぼんやりと見える 大久保さんの方にばかり 目が行ってしまう。                                                          《・・・なに意識してるんだろ》                                                       粘り着くような夜の海の 魅惑的な空気に惑わされたのか 急にきしみだした胸に 戸惑いを感じた私は 側にいた周也さんに声をかけ その場を去り 気持ちを落ち着かせようと 波打ち際を裸足で歩いていた。
/409ページ

最初のコメントを投稿しよう!

325人が本棚に入れています
本棚に追加