325人が本棚に入れています
本棚に追加
/409ページ
昼間も思ったけど
こんなに毎日暑いのに
海水が意外に冷たいのが不思議でしょうがない。
その気持ちいい
ヒンヤリした感覚も
しばらく歩き続けていると
麻痺してくる。
遠くからかすかに聞こえる
花火を楽しむ人達の笑い声
と穏やかな波の音の中
何を考えるでもなく
無になって歩いてた私の背後から
バシャバシャ!!
騒がしい水音が聞こえてきて
──ん?
と思った瞬間
「香奈ちゃん!!」
名前を呼ばれるのと
同時に腕を掴まれ
反射的に身をすくめた私は
強く腕を引っ張られて振り返った。
「どこまで行くんだよ!!」
目の前には
怒っているというより
心配したような
困ったような顔をした大久保さんが
立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!