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「あれ?私こんなに来ちゃってたんだ」
大久保さんに言われ
花火をしていた場所の目印だった
海の家とほのかな外灯を
目を凝らして見ると
それは、ずっと遠くの方に
小さく小さく見えた。
「みんな心配するだろ?」
「うわっぁ。スイマセン。何にも考えずに歩いてただけだったんですけど、こんな所まで来てるなんて全然気づかなかったです。てか、これ戻るの大変ですよね」
「だよ~。だから香奈ちゃんは心配なんだって。ほんっとに、相変わらず自由なんだから」
小さな子供を叱るように
私の頭にポンポンと手を置いた大久保さんと、ゆかりさん達の元に引き返す。
1人で歩いていたさっきまでと違い
音を立てて歩きたい気分になった私は
バシャバシャと楽しみながら
波打ち際をゆっくり歩く。
「ねえ、大久保さん?海の水ってこんなに冷たいもんでしたっけ?」
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