覚醒

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さっきからの疑問をふと口にした私に 「あぁ、海水の温度って気温に比べて2ヶ月ぐらい遅れて上昇するから9月頃の方が、夏の炎天下で温められて水温が高いらしいよ。だから、今はまだ気持ち冷たいってわけ」 「えっ!そうなの?知らなかった」 尊敬の眼差しで 見つめる私に 「それぐらい男だったら知ってるよ」 そう言って 照れた笑いを浮かべる 大久保さんの目尻には 4年前より少し深みを増したシワが寄っている。 ふふ。 大久保さんのこのシワが 好きだったんだよね。 懐かしいバイト時代に 記憶が飛ぶ。 あの頃より ほんの少し大久保さんと私の距離は 近くなった気がして 嬉しい。 こうなると 会わなかった4年が無駄じゃなかったみたいに思えて 崇人との結婚と離婚も 私にとっては必要だったのかも・・・ そんな風にさえ、感じられた。
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