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いとこの堅司は
「血繋がってない方が
純粋に子供のこと思えるのかもな~」
なんて言ってる。
自分の子だったら欲や見栄が絡まり合って感情のコントロールが難しいっていうことなのか?
どうなんだろう?
遺伝子の繋がりに甘えて
愛情を表現することを
サボるのかもな?
まっ、今の俺には
自分の血を分けた子がいないから
そんな事考えたって分からない。
とにかく侑は可愛くて
毎週末会うたびに成長してるから
面白くて仕方なかった。
「篤ありがと~」
息を切らせ駆けてきた香奈が
俺に微笑みかける。
「最近、侑に追いつけなくなってきたー!!」
レジャーシートに腰を下ろした香奈は
「悔し──ぃ!!」
っと足をバタつかせながら笑うけど…
一瞬、その笑みからは魂が抜け
あらぬ方へと遠のく。
あの夏の夜の海から
2ヶ月。
俺たちは
2人の気持ちが迷子になっていた
4年間を取り戻すように
毎日のように会い
週末にはこうして侑右を連れて
出かけるようになっていた。
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