ー篤 Sideー

8/30
前へ
/409ページ
次へ
「あのね、いつも香奈の卵焼きは甘過ぎるって言ってるんだけど 『侑右が、これ大好きだから』 って聞かなくてね・・・ 今朝も少し私と、揉めたの(笑)」 「・・・そんなに甘かった?」 下から俺の顔を覗き込む 香奈のしょげた顔が・・・ たまらなく可愛い・・・。 親の前だということを忘れて にやける俺に 「最初が肝心よ篤君!! 本当の事、言ってやらないと ずっとこの極甘卵焼きのままに なっちゃうんだから~」 香奈ママの忠告が飛んでくる。 う~ん・・・。それは困る。 「ごめん香奈。甘めより、 だし効いてる卵焼きの方が好き ・・・かも・・・。 だけど、うん。 きっと俺の舌がおかしいんだよ」 「??・・・フフフッ。 篤って変なの!!アハハ」 支離滅裂な俺の答えに 香奈ママと一緒に さっきまで沈んでいた香奈までが 大笑いしている。 なんだか、この親娘 意外に能天気なのかもな・・・。 反応に困って無言の俺と目が合った 香奈パパは、 気の毒そうに俺を見ていた。 《あれが、俺の将来の姿かもな》 そんな予感がした夜。 浮かれっぱなしの俺は つい・・・ うっかりミスを犯してしまった。
/409ページ

最初のコメントを投稿しよう!

327人が本棚に入れています
本棚に追加