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「母さん!とにかく1度2人の話を聞いてから意見を言いなさい」
普段は口数の少ない父さんが
珍しく母さんを注意する。
「嫌よ。聞く必要ないもの。
バツ1はどうでもいいけど
あなた、男のお子さんがいらっしゃるんでしょう?
家の篤は本家の長男でこの家の跡を継ぐ者なの。
で、その跡を篤の子が守っていく。
それは分かるでしょ?
その大事な跡取りが、余所の人の子供じゃ困るのよ。
そもそも、篤の子じゃないのに
孫だなんて母さん思えません!!」
ストレート過ぎる母さんの拒絶を
目の当たりにした香奈の肩が
小刻みに小さく震え出す。
笑顔の裏で
俺たちには分からない
沢山の涙を流してきた香奈を
俺は知っている。
その香奈を
俺のせいで・・・
俺の親が・・・
ナイフよりも鋭利な言葉で
傷つけるのは
・・・キツすぎる。
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