ー篤 Sideー

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気がせって汗ばんだ体に 初秋の風が気持ちいい。 一気に深まる秋の気配を現すように 陽の落ちるのが早くなったこの頃は、 定時で上がる日も 辺りはすっかり闇に包まれている。 足早に愛車の元に向かう俺の目に 見慣れたシルエットが 飛び込んできた。 マジかよ。 このタイミング。 「・・・香奈!!」 駆け寄った俺に 勢いよく抱きついてきた 香奈の綺麗なロングの髪が 秋風になびいて 最近、ハマっていると言ってた シャンプーの良い香りが 秋の夜の匂いと混じり合い 俺の鼻腔を刺激した。 「篤・・・ごめんね。 ・・・私・・・ワガママな女に なってもいい・・・?」
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