レインリリー

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************** 1年後・・・・・・。 「良かったわね。晴れて」 留袖姿のママが ハンカチで目元を抑えながら 今日、何度目かの 「良かったわね」 を言った。 4歳になって 幼稚園に通い始めた侑右は 戦隊ものに、どっぷりハマり中で 自分を何かの『レッド』に 設定しないと気がすまない ヤンチャ盛りだけど ここの装飾品を割らないかと心配する パパの傍らで今日は朝から やたらと大人しくしている。 こんな時は、 男同士の方が落ち着くのかな。 子供なりに私の大事な日に 気を使ってくれているのだろう。 その侑右が、 朝から目も鼻も赤くして 涙ぐんでばかりいるママを 「お腹痛い?お腹すいたの?」 と、しきりに心配している。 「ほら、侑右が不安がるから もう泣き止みなさい」 そう言うパパまで 目頭を抑えているし 全然、説得力が無い。 そんな両親の姿に 今日の日の幸せを噛み締めながら これまで、 どれだけ親に心配をかけていたかを 改めて反省する私は   今日 ──篤の奥さんになる。
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