レインリリー

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下には ブーケをキャッチするべく ゆかりさんが最前列で陣取り その横には、なぜか周也さんまでいて 仲良くじゃれ合いつつ 周りを巻き込み盛り上がっている。 そして、その後ろでは パパの監視から解放された侑右が 大好きな琴子の周りで ときたま変な決めポーズを取りながら ちょこまかと走り回っているのが見えた。 フフフ。 あれで琴子に 自分の1番カッコイイ所を 見せているつもりなんだろう。 「こんな所でも、みんな相変わらずなんだから」 変わらない皆の様子に たまらなく幸せを感じながら くるりと背を向け 司会の人の合図を待つ私の ブーケを持つ手が フワッ・・・ 篤の大きな手のひらで 包み込まれた。 まだ挙式の緊張がとけてなくて 少し冷えた私の指先に 篤の温もりがジワリと広がっていく。 でも・・・ ブーケトス、できないよ? 幸せすぎる戸惑いが 何だか、くすぐったい。 「なあ、あのレインリリーって花  香奈みたいだよな・・・。    儚げなのに強い。  だけど可憐で目が離せない・・・」 そう呟いた篤が ニヤリとしたのを目の端に捉えた瞬間 お姫様抱っこされた私のおでこには ♪チュッ♪ キスが落とされていた。 「「「キャァ───ッッ!!」」」 澄み切った秋の空に にぎやかな歓声が響き渡った。               ー完ーimage=473474332.jpg
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