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*犯人H*
ところで、主犯とは誰なのか。
そんなことなんて、クラスの大半が知っている。
その人達はいわば、いじめる側の組織といったところであろう。
学年の中の一部も多少加わっているようだが、主な中心的存在といえる人は、3人だ。
まず一人目は、Sさん。
二年の中では、いつも明るく輪の中心になるタイプである。
これだけ聞けば、一見良い人だと考える人も多いと思う。
だが、それは表の顔。
裏の顔は本当に恐ろしい。平気で人を傷つけ、恥を晒させ、嘲笑い、挙げ句には自分の罪を完全無視。
何も無かったかのように仕立てあげるのだ。
二人目は、Uくん。
スポーツ万能な目立ちたがり屋。いつも面白い話をしている。
だが、自分自身のルックスがかなり整っているのを良いことに、見た目にコンプレックスを持っている人達へは、容赦なく暴言を吐きまくるのだ。
人をけなし、そして笑う。それを楽しんでいる。
三人目―……。
これが最大のボスである、Hさんだ。
陸上部で、何より学級委員なのだ。
スポーツ万能、成績優秀、おまけに容姿端麗ときた。
先生の信頼も厚く、男子からの人気もかなり高い。
こんな完璧な人が他のどこにいるのだ?
と思ったら、そこでゲームオーバーである。
何故なら彼女の狙いはそこにあるからだ。
彼女だって1人の人間。すなわち、ストレスは十分すぎるくらいに溜まるのである。
むしろ溜まらない方が有り得ない、といった方が適切かもしれない。
全ては彼女の思考回路のなかで行われている計算通り。
未来へのシナリオは、Hさん自身が書き上げていると言っても過言ではない。
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