0人が本棚に入れています
本棚に追加
これから、異界送りが始まる
俺は実は異界送りを見るのは初めてだ
でも何だか見たくない気もした、
だって、現実を突きつけられるようで
これを見てしまったら皆の死を、
絶望を受け入れなければならないから
そして異界送りが始まった……
少女が皆の棺桶の沈む中心へ歩む
水の上を歩く、光り輝き思いに共鳴し具現化する虫、幻光虫が集まる、
少女は中心で舞う悲しみをこらえ今にも弾けそうな顔しながら
ある人は泣き崩れ
ある人は叫び
ある人はいとおしい目で
ある人は悲しみの目で
ある人は絶望の目で
少女の舞う姿を見ている
幻光虫は少女の足元に集まり水が少女を優しく上に押し上げる、噴水の様に競り上がる水その上で舞う
何処からか祈りの歌が聞こえる
俺は今どんな顔をしてるんだろ
色んな感情が溢れだして止まらない
ああ、みんな死んだんだ、あれは現実だったんだ
少女は舞いをやめ村人たちの方へ歩く
幻光虫は去って行く
俺はその場から動けずにいた
最初のコメントを投稿しよう!