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王子は王と王妃の間に生まれました。
子どもの頃は、やんちゃでよく城を抜け出しては、騎士団の元へ遊びに行っていました。
そんな王子の元に、ある日、とある魔女が現れました。
『あんたは、立派な王になるね。ふーん。あんた、運命の相手と結ばれるかどうかで人生が大きく左右されるね』
「もし運命の相手と結ばれなかったらどうなるんだ?」
『王としては、ま、なんとかなるだろ。けど、あんたの人生が豊かになるかは大きく変わるね。癒しさ』
「癒し?」
『そ。毎日国のことを考えて考えて、あれ?俺の心配は誰がしてくれるんだ
?家族という温かなぬくもりをくれるのは?ってな。いつか必ずむなしくなるもんだよ』
「…いつ会える?」
『それは、あんた次第さ。でも、あんただけヒントをあげないのはズルいからね。ヒント、運命の相手は魔女だよ』
「魔女?そんなの国にたくさんいるじゃないか!」
『そこは見つけな。あんたの生涯の伴侶なんだから』
「伴侶、そうか。俺の妃か!」
『式を挙げるときは、私も招待してくれ』
そう言い残し、魔女は去っていきました。
その日から、王子は未来の妃に想いをはせます。
貴族の中にも魔女はいましたが、誰を見ても心がときめきません。
しかし、妃に向ける想いは募るばかりです。
あれから10年。
成長した王子が進学に向け悩んでいたそんなある日、とある噂を耳にしました。
街で評判の魔女がいると。
その魔女の占いはよく当たり、しかも薬草学にも精通していると。
王子は興味を引かれ、魔女に通信をしてみました。
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